これを知っていれば助かる!!検査値の読み方【心不全編】

看護に詳しくない方からすると検査値とは?と難しく考えがちですが、私たちの身近にある健康診断がまさに検査値をいうものを勉強できる入口です!
検査値を知ることによって自分の身体がどう悪いのか、どの数値がどこに影響を及ぼすのかがわかってきます。

今日はそんな検査値の値や読み方、略語まで詳しく解説していきます!!

これを知っていれば助かる!!検査値の読み方【心不全編】

絶対に知っておきたい基礎知識

まずは疾患の検査値をみる前に、検査値に関する基礎知識を知っておきましょう!

まずはパニック値という言葉は看護を勉強していく中で必ず耳にします。
パニック値とは・・・基準値から明らかに逸脱していて、危機的な状態であることを示します。そして重要なのは

・わずかに外れているか
・大幅に外れているか

です。

たとえば基準値の幅が狭いもの(電解質など)はわずかに外れただけでも大きな影響を及ぼします。
反対に基準値の幅が大きいものは多少外れても体に大きな害が出ることは少なくなりますので、まず基準値がどの程度幅があるのかを把握しておく必要があります。

迅速評価

身近な病気、よく耳にする病気

身近な病気、よく耳にする病気は

  • 心不全
  • 肺炎
  • 呼吸不全  等・・・

特に新型コロナウイルスが流行している今、「呼吸不全」「酸素濃度」「肺炎」等、呼吸器に関する内容を頻繁に耳にします。

では検査値のどの部分を見ればいいのか、どこまでが許容範囲なのか。
今日はよく耳にしている上記の病気から「心不全」について解説致します!!

心不全

心不全とは心臓のポンプ機能が障害され、心拍出量の低下を招き、主要臓器への酸素供給が満たされていない状態を指します。
主に心不全は急性と慢性があり、腎疾患、呼吸器疾患、内分泌疾患、ストレス等ありとあらゆる原因で発症するため原因と追究するためにも検査は必須です。

心不全では

  • 心エコー
  • 胸部エックス
  • 心電図

等の検査をしてレントゲン、各項目の血中濃度等から確認をしていきます。

心不全

心エコー

まずは心エコーでは

  • 心臓の運動異常や形態に問題はないか(肥大等がないか、弁の状態は正常か)
  • LVEF(左心駆出率)は60%前後で安定しているか

を確認します。

胸部エックス線

そして胸部エックス線では

  • うっ血の程度
  • 胸水貯留の程度
  • CTR(心胸郭比)※胸郭横径に対する心横径の比率で通常は50%以下になります。

を必ず確認してください。

心電図

また極端な頻脈や徐脈、その他の不整脈がないかを心電図で確認していきます。

各項目の血中濃度

その後、血液中に分泌されるホルモンであるBMP(脳性ナトリウム利尿ペプチド)の濃度をチェックします。
このホルモンの濃度をチェックすることで心臓への負荷の程度と重症度がわかります。
ここまでで現在発症している患者さんと心不全の状態がわかります。

併発を防ぐための検査

ここからは心不全が発症したことによる併発を防ぐための検査となります。

凝固脳検査

慢性心不全の患者さんは、血液凝固抑制剤や降圧薬などで薬物治療をしていることが多い為、必ず凝固脳検査が必要になります。
確認する項目は以下です。

  • FDP(フィブリノーゲン分解産物の総称)定量…基準値5.0㎍/ml以下
  • Dダイマー(FDPの固有名称)…基準値1.0㎍/ml以下
  • PT(プロトロンビン時間)…血液が凝固するまでの時間で延長しているときは出血、短縮しているときは血栓が疑われます。基準値0.90~1.31%
  • APTT(活性化部分トロンボプラスチン時間)…内因性凝固活性の指標です。基準値26~28秒
  • INR…外因系及び共通系の凝固異常を判定する検査(PT)の国際的標準比率で抗血栓薬などの効果の指標です。基準値は1.0±0.2

腎機能検査

心不全の影響による循環不全により、血流が低下し腎機能障害に陥るケースがあるためこの検査も不可欠になります。

  • BUN(血液尿素窒素)…血液中の尿素に含まれる窒素分で腎・肝機能の状態指標です。基準値8.0~20.0㎎/dl
  • Ccr(クレアチニンクリアランス)…血清中と尿中のクレアチニンの量を測定して算出する腎の排泄能力の指標です。基準値82~183ml/min

炎症データ

また炎症データもとる必要があります。必ず必要なのは

  • 白血球
  • CRP
  • PCT定量

です。
まず白血球で感染症の疑いがないかを見ます。基準値3500~9700/μl
そしてCRP(C反応性蛋白)が増えていないかの確認。基準値0.3㎎/dl以下
最後にPCT(プロカルシトニン)が上昇していないかを確認してください。基準値0.05ng/ml以下

いかがでしたでしょうか?
目に見えてわからない症状は検査をしてその数値で見る他ありません。

どの数値とどの数値が上がっていればどういう状態なのか。
この数値があがってなくても他の数値が上がっていることでどういった状態が予想できるのか。

まるでパズルのようにピースをはめて明らかにしていく身体。
その状態を知るには勉強するほかありません。
まだまだ覚えることはありますが頑張ってください!!


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