気にかけているんだよ、という事を伝えたい
藍野病院 藍野花園病院 青葉丘病院 (医療法人 恒昭会) 関西 / 大阪府 / 茨木市高田町11-18 中筋 美摘
役職
経験3年目以上
卒業校
藍野大学短期大学部第一看護学科

<藍野花園病院 所属>

当院で勤務し数年が経ちましたが、最近よく実感するのは私たち看護師が患者さんに対して支援すべきことは精神症状よりも、むしろ心の部分や社会的な部分だということです。

昔の看護雑誌のコラムなどを見ると「薬が一番の治療だ」というようなことが書かれているのですが、薬は幻聴などの症状に効果を出すもの。
しかし患者さんは症状が落ち着いただけでは望んでいる生活を実現することは難しいケースが多いんです。患者さんが生活の変化に向き合えるように心のサポートをしたり、ご家族との関係や生活技能の獲得を促したりすることが重要だと思います。

こちらで勤務し2年目の頃、身体拘束を強いられている患者さんを2名受け持ちました。
様々な理由で繰り返し拘束になる方だったのですが、接する中でどれだけ耳を傾け寄り添うことができるのかが、その後の社会復帰につなげるうえで非常に大事だと実感しました。
私が患者さんを見つめる事で、患者さんは自分の存在を“価値あるもの”と捉え、信頼関係が築けると、イメージするゴールを実現するにはどうすれば良いのか、一緒に考えることができます。
口で言うのは簡単ですが、踏み込みすぎて拒絶されることもあるのでアプローチの仕方や介入のタイミングは難しいですね。
それでも「常に患者さんの思いに寄り添う」という思いはいつも心の中にあるポリシーです。

寄り添うために大切にしていることは、まず挨拶!
自分の受け持ちでない患者さんにも必ず朝は「おはようございます」とお顔を見ながら声掛けをしています。
病棟全体の取り組みでは、“茶話会”を毎月開催していて、患者さん同士、また患者さんとスタッフで病棟で起こっている問題を意見交換したり、レクレーションの企画をしたりしています。
“職員が一方的に決めて患者さんは受け身”というのではなく、実際に病棟で生活している患者さん達が主体的に考えたり、意見を述べたり、協調する機会はとても有効なリハビリでもあると考えています。

社会訓練を兼ね、電車を使って外にご飯を食べに行くときもありますよ!
「依存と自立」という言葉がありますが、電車でどうやって目的地に行けばいいかわからないときに、駅員さんに行き方を聞いたりすることがあると思います。これもある意味「自立」で、自立した人は、困った状況に陥ったとき誰かに助けを求めながら問題解決していけると思うのですが、精神機能に障害を抱えておられる方や、若年期の発症で社会経験が不足している患者さんは、問題を解決するために周りに助けを求めることが出来なくて閉じこもってしまったり、逆になんでも自分でしなければと固執して失敗してしまう人もいます。
バス・電車でのレクレーションは、社会復帰後の自立のための訓練を楽しみながらできるし、リフレッシュにもなると思います。

この仕事をしているとやっぱり患者さんからの「ありがとう」という言葉がとても嬉しいですね!
「拘束解除になりました」など、嬉しいことがあったときに伝えに来てもらえると、その人にとって自分が良い関わりをできていた、その人の味方でいれたと感じます。

学生さんは実習に行くとうまくいかなくて悩むこともあると思います。
ですが自分と指導者さんや他のメンバーたちと看護観の違いがあるのは当たり前のことですし、自信をなくさず自分の価値観を大切にしてほしいと思います!