子供たちは遊びのプロ!私たちの先生です。
大阪発達総合療育センター/南大阪小児リハビリテーション病院 (社会福祉法人 愛徳福祉会) 関西 / 大阪府 / 大阪市東住吉区山坂5-11-21 平原 珠美
役職
経験3年目以上
卒業校
看護学校

HPSとは…
遊びを使って病児や障害のある子どもを支援する専門職。医療にかかわるすべての子どもたちに対し遊びの力を届け、さらに医療に前向きに取り組んでいく心を育てるスペシャリストです。
今回は大阪発達総合療育センターで活躍するHPSの平原さんにインタビューをご紹介します。
平原さんがHPSを目指したきっかけや心がけていることとは…?


―小児医療の現状はどのようなものでしょう?
子どもにとって遊びは生活の全てです。でも医療は非日常ですよね。これまで医療の中に遊びはかけ離れていました。
入院したらベッドの上に子どもが寝たままで、遊べるものも限られています。手術や処置、検査をする時、何かを子どもが受ける時は、その直前になったら「ハイ、検査に行くよ」と子どもたちは何をされるか分からないまま連れて行かれて、何の選ぶ権利も選択する権利もないまま、やらされ感だけが残ります。
それでは医療に対して恐怖や不満だけが残ってしまい、次に医療を受ける時には「もう病院なんて行きたくない!」となってしまう…
それが小児医療の現状です。
子どもたち自身が受けることを理解し、前向きに心の準備がちゃんとできて、こうすれば頑張れるよっていうのを一緒に考えてあげることは本当に大切なことです。
子供たちに出来る範囲の選択、やるやらないは選べないけれどやるならどんな形なら頑張れるのか、というのをその子の好きな遊びの要素を入れて前もって説明してあげます。

―「一緒に考える」その自主性が大切なのですね。
医療は大人になってからも切り離せないものです。何か医療で躓くと子供たちは行きたくなくなってしまいます。そうならないように、そうなってしまったならどこかで私たちが介入することで「自分で頑張れた!」「次同じことやるときは出来る!」と子供たちが前向きな気持ちになって帰れるように支援します。
例えば採血。大人は「痛くないよ」とか「すぐ終わるよ」、と言うじゃないですか。でも実際は終わらないこともあるし、痛くないわけはない。感じ方は人によって違います。
私たちは前もって話す時、痛いときは痛いと言うし、お薬も苦い時は苦いと言う。嘘はつきません。
ちゃんと真実を伝えて、それに対して採血ならどういう姿勢で臨めば頑張れるかとか、片方の手は採血をして片方の手は遊びに集中して痛いことから気をそらす。その子の成長発達に合わせてやっています。
後は採血の時に子供たちが心の準備をするまで待ってあげるようにしていますね。
やっていいってなったら自分で手を出してね、と。

今の医療現場はコチラの都合で忙しいから、時間がないからと泣いてても無理やり治療を続けるケースもあります。ひどいとまたがったり、押さえつけたり…
それは絶対にやりたくないんです。
子供たちにちゃんと参加してもらって、選べる部分は選んでもらって、自分は頑張れたんだ!ということを経験してもらえれば、自分は出来ると自己肯定感にも繋がります。
次に何か医療を受ける時にも前向きに医療に参加できて、子どもにとって安心、優しさを医療から感じられるような支援をしています。


―医療を前向きにとらえるのは大人になっても難しい気がします…。
接するのが「子ども」だと特に意識はどのようなものになりますか?
一番根底にあるのは、日常の遊びの保障をしてあげることですね。
遊べて心が満たされると頑張れる、頑張る気持ちに繋がります。
私たちがするのは、ディストラクション(気をそらすこと)と、プレパレーション(心の準備をすること)です。
手術後や処置後の振り返り、遊びによって子供たちが間違った風に誤解していないか、例えば耳の手術をしたのに、頭を切られていると思っていたりする子もいるんですよ。
そこは必ず誤解を解いてあげないといけません。自分の体の理解に繋がることですから。
そのような振り返りを遊びながら一連の流れに対して子どもたちと向き合うようにしています。
また、遊びの道具がなくても、私ひとりだけでも子どもたちと遊べるようにすることも大切なことです。ツールありきではなく、私たち自身が遊びの媒体になれるような工夫をしなければいけないですね。
遊びのプロは子どもだから子供たちが先生ですよ。同士といいますか(笑)


―HPSを取得しようと思ったきっかけを教えて下さい。
看護師になってからずっと小児看護に係わる場所にいました。自分の中ではちゃんと子どもに説明しているし、子どもの気持ちを考えているし、頑張って看護をしていると思っていました。
でも急性期の病院で、子どもは治療で良くなっているけれど、良くなるのと反比例していくような姿も目の当たりにしたんです…。
それは症状が治っているはずなのにだんだん無口になったり、笑わなくなったり…。
親御さんが来ると気持ちをぶつけたりもそうですね。体は回復しても精神面は違うのだと痛感しました。
これで果たしていいのかな?と思っていたんです。それがHPS取得のきっかけでした。

―働きを通しての平原さん自身の「心がけていること」また「喜び」を感じる瞬間は?
この病院へ来て今で2年目です。相手が喋れないとコミュニケーションが取れない、ではなくてその子の様子をみていればなにか表情だったり手の動きだったり、そういうのでなにか反応を示してくれているのがわかります。
なので喋れる喋れないに関わらず、手術を受ける時でも皆プレパレーションをします。
ちゃんと子供たちは返してくれますよ。そんな時に子供たちってすごいなぁ、と毎回毎回感動を覚えますね。
どんな子でも意思を持っているから、向き合ってその子にあった方法で関わってあげれば、その子の思いは分かります。
子どもの心の準備を待ったり、タイミングを見たり、子どもが頑張る瞬間まではすごく時間がかかるけれど、結果早く終わるんですよ。

家族支援、兄弟支援も私たちの仕事です。
ここに入院している子がHPSになりたいと言ってくれたり、ご兄弟がHPSになりたいと言ってくれるんです!それがすごく嬉しいですね。

この病院は、スタッフもみんな優しいです。
障害のある方の看護となると自分に出来るのかな、と一歩引いてしまう方も多いと思うんです。私も最初そうでした。でも子供たちから学ぶことってたくさんあるから、ちょっとでも興味を持ったら子供たちに会いに来てほしいです。