LINEで送る

ナースナースインタビュー Vol.31 看護はやっぱり楽しい|大阪発達総合療育センター(南大阪小児リハビリテーション病院) 牛尾 実有紀

―子どもに特化した摂食嚥下の活動はどんなものでしょうか?

大人は食べていた経験があるから「あれ食べたいんだよね」というモチベーションがあります。でも、生まれて何も飲んだことが無い人って「食べるって何?」みたいな…。 上手に食べたっていう経験もないので、リハビリテーションでなく、「1から」覚えていかないといけません。 大人で言われていることが全然通用しないっていうのがありますね。

―現在の活動を教えて下さい。

普段はここで週2回、嚥下外来をやっています。 それ以外の日は訪問看護や病棟勤務です。
誤嚥の評価だけでなくどんな風に環境を整えたら食べやすいのか、また「経管依存」といって赤ちゃんのときにチューブでミルクをもらっていたお子さんが、食べることを覚えないまま大きくなり口に触るのも嫌!という子もうちに来ますね。
1歳くらいの子から5歳、6歳になっても食べられない子もいます。飲み込みの機能自体は悪くないのに食べない、食べられないんです。
小さく生まれてやっと生き延びたのに食べてくれないということでつまずいて、お子さんにあたってしまったり・・・そういう方向に行くお母さんもいるので精神的な支えも含め必要だと思っています。

外来をやり始めてそういう子の割合が多いという事実にも気づきました。5年程かかってここを卒業するくらいに食べられるようになった子もいてますね。 やはり平均的にそれくらいの時間がかかります。長いスパンで見ていかなくてはいけません。 嚥下外来を初めて8年くらい。その中で見えてなかった部分もたくさん見るようになりました。

―やっていて良かったなと思うことはありますか?

そうですね…。今3階(重症心身障害児入所施設)に赤ちゃんの時に呼吸状態が悪く気管切開をして、チューブで栄養をもらっていた子がいます。
そのため口に触れるのも嫌がっていたんです。毎日、歯磨きとか口に触ることをしていても全く食べようとしなかったのですが、病院育ちの子なので注射器が好きなんですよね。 注射器を持って遊んでいた時に、ちょっとだけお水をいれて口にびゅっと入れたりして「口に触れる」ことへの抵抗をなくしていくようにしました。
4歳になり、そろそろ本格的に「食べる」という行為に慣れてほしい、とみんながご飯を食べている食堂に連れて行ったんです。
食べるものを目の前に置いて「いただきます」するんだよっと見せながら嚥下療法もしてっていうのを続けていたら、ある日突然自分で持って食べだして・・・! 今ではお昼は全部食べるようになりました!形態はまだミキサーにかけたようなものですが、おやつも自分から「ちょうだい!」と言って食べることが大好きになってくれました。 経管依存で口に触られるのも嫌だった子でも根気よく向き合って、たくさん褒めてあげて・・・
色んなことがきっかけで食べることが好きになってくれるんだなと思います。 そうゆう子どもたちの姿はやりがいになりますね。そこから楽しさというか、やりがいも増してきましたね。

大阪発達総合療育センター(南大阪小児リハビリテーション病院)

―認定を取ってから大変なことはありましたか?

始めの1、2年は自分の立ち位置が定まらず、悩むことがありました。
STさん(言語聴覚療法士)と何が違うの?という周囲からの目や、食事介助の方法もみんなに伝えたいのになかなかそういう機会にならず、「いつになったら広められるんだろう…」というしんどさですね。
そこから徐々に外来ができるようになりました。
最初は外来と言ってもすぐに患者さんは入らず、病棟で食べることが難しい人がどうやってご飯を食べているかというのをビデオに撮って、それをみんなで供覧する勉強会を半日使って1〜2年くらいやっていました。
現場にもそれぞれの病棟の中での嚥下の係を作ったことで、その人が食べさせるのが難しい人をピックアップしてくれるようになったり、ラウンドで出した評価をみんなに伝えてくれたりするようになったり、周囲も変化してきました。 そこから楽しさというか、やりがいも増してきましたね。

―患者さんと関わる中で心がけていることとは?

大阪発達総合療育センター(南大阪小児リハビリテーション病院)

やっぱり情的に入りこんじゃうことはありますよね、若い子はとくに。 私も昔はそういうこともありました。だんだん年とともに距離感はある程度わかるようになりましたね。
若いときは愛情100%ってなっちゃいますけど、それをコントロールしていけるようにならないと。 お母さんにしてみたら私たちって他人。大変ななかで、「しょせんあなたの子供は健常でしょ?」というのが難しい部分ではあります。
今でもよく覚えているのが…
お子さんがおなかの中にいるときに障害が分かり、それでも産むと決め、実際に産んでみたら思っていた以上にひどい障害だった方がいらっしゃいました。 生まれてきてもあんまり長くは生きられないと宣告されて、「この子が苦しむために生まれてきたんなら、私は選択を間違えた」と訪問のたびにおっしゃるんですね。 でも、何年も訪問で伺ううちにどんどんいい方向に向かい、入院もほとんどしなくなって。 その1番しんどかった時期にそばにいてくれた、と信頼してもらえました。 そして、「もしこの子じゃなくて健康な子を産んでいたらどうだった?」と話をしていたときに、「絶対この子がいい」っておっしゃったんです。
障害があって長く生きられるかわからなくてもその子は毎日ハッピーに過ごしているし、お母さん自身も「障害はあってもこの子じゃないといけない」、というくらい愛情を注げるようになった。 その過程を見せてもらったというのはこの職業だからこそです。そういうの、多々あるんですよ。

喋らないし、動かないし…何を考えているんだろうと思う子も必ず発信しています。 今日は機嫌がいいとか悪いとか。寝たきりだけど、明らかに何か表現している…・ 看護学生さんで若い子がきたら明らかに元気だったりね(笑)
こうやったら喜ぶんやな、とかこういうことしたら良くなったよね、など理屈じゃなくてわかってくる、その興味深さは他ではなかなか学べません。 看護師として、人として成長できると思います。



●ナスナスでは、医師や看護師をはじめ、様々な分野で活躍されている人々をインタビューしています。また、全国の病院で働く先輩看護師検索や、電子化された全国の病院パンフレットが無料で検索から閲覧までできる業界初の新感覚サイトを通して、看護師・看護学生の就職活動と、病院の効率的な採用活動をサポートしています。



【バックナンバー】

病院資料請求でもれなくプレゼント!

イベント

Follow nasnus
病院掲載リクエスト
ナス子とナス男 募集します!