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ドクターインタビュー Vol.26 今、医療現場に必要なのは「自分を信じられる人」|日本赤十字社 伊勢赤十字病院 救急部長 救命救急センター長 説田 守道
日本赤十字社 伊勢赤十字病院

伊勢赤十字病院に赴任したのは20年前です。そのころは救急車の出動回数がどんどん増加していた時で、夜中でも昼間と変わらない台数の救急車が病院に来ていました。でも病院の体制はそれに追いついておらず、1人2人の医者で昼間と変わらない人数の患者さんに対応していました。そんな状況下ですから一般救急を担う医者の数も徐々に減っていきました。私はそのころ循環器専門医でしたが、心筋梗塞の患者さんの増加にともなって24時間365日スタンバイする状況となりました。

ある日院長に呼ばれました。「君、明日から救急を専門にやってくれないか?」

もともといつも待機していましたし、一般救急患者の対応もしていたので、自分の仕事内容が大きく変わるということはなかったのですが、やはり苦労はしました。ある程度年齢を重ねてからもう一度最初から勉強をしなおさなければならないという状況はなかなか大変でした。 最初の1~2年は循環器も兼任していましたが、それをずっと続けるのはやはり不可能でした。最終的にはそれまでのキャリアは捨て救命救急1本になり、今に至ります。

赤十字の役割は「医療のインフラ」であること

赤十字病院は医療のインフラです。水道のように患者さんが必要としている医療を提供する。それは自然災害、人災、どんな災害が起きた時でもです。何もない状況下であったとしても、なんとかして最低限必要な医療を提供しなくてはいけない。それが私たちの使命です。災害時であっても平時と同じ働きができるようにならなくてはいけません。そのためには日頃から訓練をし、学び、経験を積むことが不可欠です。普段の仕事が当たり前にできて、例えば普段は人の倍ぐらい働ける力をつけておかなければ、災害時に平時と同じ力を発揮することはできません。

重要なのは「時間」に対する意識と協調性

日本赤十字社 伊勢赤十字病院

「こんなことで亡くなってはいけない」という患者さんがいます。特に心筋梗塞などは技術も進歩し心臓が壊れない限り助かる可能性は十分にあります。分かれ道になるのは時間です。発症してから根本的治療まで1分1秒をどれだけ縮められるか。それには看護師も医師と同じ時間軸で考え、対応できるかが重要になってきます。看護師だけではありません。検査技師、放射線技師、みんな同じです。一つのチームとして、同じ考えと同じ時間軸で一人の患者さんを何とか良くしたいと思うこと。その気持ちがなければできないのです。救命救急とはそういう世界です。

現在、ドクターヘリの稼働によって確かに以前よりも時間は短縮されています。しかし救急車で搬送された場合との差はわずかです。そこから更に短くするにはかなりの努力が必要です。もっと我々は頑張らないといけないでしょう。

そこで重要なのがフライトナースの腕です。医師は患者さん・家族へのインフォームドコンセントや病院へ連絡をしている間、対応の一部を看護師に任せます。医師と同じ時間軸で動き、目の前の患者さんに一番必要なことは何かを考えて行動することができるかどうか。目の前の患者さんが元の生活に戻れる、仕事に戻れるかどうかが大切なのです。自分の判断・行動でその結果は変わります。フライトナースの仕事は非常に重要な任務となりますが、その分達成感も大きなものとなるでしょう。

そして救命救急の現場では医師も看護師も協調性をもって取り組むことがとても大切です。どんなに優秀でも「みんな私の言うことを聞け!ついてこい!」ではダメです。そして誰もが「救命救急」の医療知識を持つことが必要です。「私は救急医ではないからこのような患者さんは診られません」では困ります。もちろん全てを一人でこなすことは無理ですので、いろんな科の先生と分け隔てなく話ができること、協調性が必要なのです。

今、医療現場に必要なのは「自分を信じられる人」

日本赤十字社 伊勢赤十字病院

日常の仕事が当たり前にできて、その上で災害医療にも関わることができる人が必要です。そのためにまずは基本的な「救命救急医療」をできるようになること。自分に有利なところばかりをうまくできるようになるのではなく、うまくいかないことも乗り越えられる根性があるか。それは自分を信じないとできません。自分は出来ると思えるかどうかです。院長からは3年以内に「救急科専門医」になるよう命じられましたが、私は2年で専門医になりました。それはもう猛勉強しましたよ。やろうと思えばやれる!そう信じて努力し続けることです。



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